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2021年10月

2021年10月 5日 (火)

リモート集会で被爆二世運動の可能性を感じました

昨年からリモートの集会が増え、私もちょこちょこ参加するようになりました。先月9月12日に神奈川県原爆被災者の会二世・三世支部が主催する「被爆二世問題・運動の歴史と今後の展望」というリモート講演会があり参加しました。日本国内のみならず、ヨーロッパやアメリカなど海外からの参加もあったようで最高の視聴時には200人以上が参加していたようです。今回はリモート集会の報告と感じたことをご紹介します。

 

「被爆二世問題・運動の歴史と今後の展望」は2部に分かれ、1部は森川聖詩氏(神奈川県原爆被災者の会二世・三世支部副支部長、広島平和文化センター被爆体験伝承者)による「被爆二世問題・運動の歴史と今後の展望」、2部ではゲストスピーカーからの発言でした。ゲストスピーカーは「京都被爆二世三世の会」世話人、個人被ばく線量計データの利用の検証と市民生活環境を考える協議会代表、毎日新聞広島支局の記者、広島市原爆被害者の会二世・三世部会の方で、それぞれの活動紹介をされました。1部も2部も充実した内容でした。コメント欄には多くの方が質問やご自身の知識などを残され、とても勉強になりました。

 

森川聖詩氏による「被爆二世問題・運動の歴史と今後の展望」では、森川氏が行ってきた長年の二世活動と二世問題とは何かなどについて語りました。ご自身も病弱だった森川氏は1969年に2世の声を集めた本を出版し、2世が抱える問題を社会に訴えました。70年代に神奈川県で被爆者援護の運動があり、2世の定期検診実施などの要求が組み込まれました。しかしその後、東京都議会で被爆者への差別発言などがあり、森川氏は関東被爆二世連絡協議会をつくり2世活動を本格化させます。以降、会報の発行や厚労省交渉など関東で活動してきました。日本被団協の代表としてNPTへの参加や広島平和文化センター被爆体験伝承者として被爆体験も伝えています。NPTで読む予定だった文章がとても印象的でした。少し長くなりますが抜粋してご紹介します。

「被爆二世は、社会的な偏見と差別に苛まれてきた。若い頃、結婚や就職において被差別体験のある人もいる。結婚し子どものいる人も、被爆三世である子どもの健康や差別の問題とこれについての不安、子どもが結婚している場合でも被爆四世である孫が健康な体に生まれるかどうかという不安なども抱えている。このように核兵器の特徴と人類の生存を脅かす恐ろしさの一つは、次世代以降にも深刻な被害が及んでいくことだ。そしてそれは戦争だけでなく核実験、核兵器製造に必要なプルトニウムを抽出するための原発の稼働に必要なウラン採掘への従事や原発内で働くなどの被曝労働、原発事故による周辺地域住民の被曝等により、すでに世界中に核被害は広がっており、しかも、その被害、影響は次世代以降に及んでいると思われる。核被害者が保障される社会の実現とあらゆるかたちの核の廃絶は、決して切り離すことのできない両輪であることを強く訴えるものである」。

核被害を被爆2世だけにとどめず世界に目を向けたヒバクシャ運動を森川氏は展開しています。

 

ゲストスピーカーの発言ではこれからの2世活動の道しるべとなる活動報告がなされました。「京都被爆二世三世の会」は同会が行っている被爆2世3世健康調査アンケートについて、「個人被ばく線量計データの利用の検証と市民生活環境を考える協議会」は福島県伊達市で調査された論文の撤回までの経緯について、「広島市原爆被害者の会二世・三世部会」は黒い雨裁判の意義についてなどが紹介され、2世調査の重要性や被ばく線量と人体に与える影響などが伝えられました。毎日新聞広島支局の記者の方は黒い雨訴訟について取材したなかで感じた被爆2世との相似点を話されました。「2世は被爆者援護法を受けるべく人たちではないかと考えている。援護法の基本は疑わしきは救済だ。科学的知見によりその結論に疑義が生じたならば、被爆者に該当するという結論を導く方向で用いるべきである」と被爆2世への国からの救済を訴えました。

 

ネットさえ繋がれば参加できるリモート集会はコロナ禍が過ぎても今後さらに増えるでしょう。原爆での被爆2世は世界にいるヒバクシャの2世3世たちの先をゆく方々です。世界とつながることで原爆の被爆2世たちが注目され、その役割が大きくなる可能性があります。日本の被爆2世3世たちに求められることも増えていくかもしれません。いつでも世界と瞬時につながるネット社会は沢山の協力者や仲間を増やしていくでしょう。今回のリモート講演会では研究者や活動家も参加されていたようです。リモート集会という新たな形は新しい運動形態の可能性を大いに秘めていました。

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