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2019年6月21日 (金)

映画「主戦場」を見ました。

ミキ・デザキ監督のドキュメンタリー『主戦場』を見ました。慰安婦問題をテーマに、慰安婦問題とは何なのかを直球で描いたドキュメンタリーです。慰安婦の方々が出てくるわけではありません。慰安婦をめぐり日本とアメリカ、韓国でどんな立場の人々がどのように考え、どう伝えているのかがまとめられています。「人数」や「強制連行」「性奴隷」などについて研究者や活動家、ジャーナリストがインタビューで答えています。言葉と言葉の応酬でつないでいるため、122分という長さですが時間があっという間にすぎてしまいます。社会問題を取り上げていますが、チラシに書いてある「スリリング」という通り、誤解を恐れずいうと面白い映画でした。

 

監督は日系アメリカ人で、内容は自身が抱いた慰安婦問題にまつわる疑問を日本、アメリカ、韓国で研究者や活動家、ジャーナリスト、政治家など様々な人に会い、質問を投げかけていくというものです。取材人数27人という数に感心しましたし、やはり最大の特徴である保守派の登場に興味を覚えました。日頃、ネットでは言動を目にしますが、はっきりと本人の口からその言葉を聞くと、やはりインパクトがあると感じました。慰安婦問題で対立する意見を持つ両者を取材することは日本にいる日本人のインタビュアーではできなかったことだと思います。日系アメリカ人という立場が取材の成功に導いたのだと感じました。

 

映画は先に上げた「人数」「強制連行」「性奴隷」といった論争を監督ならではの検証と分析で、慰安婦問題が抱える問題や保守派の詭弁をあぶりだしていきます。監督が情報を集め、知り得たことをまとめて、反証させながら伝えていくのです。個人的には顔を見て聞くに堪えられない発言もありましたが、思想の根本が垣間見えたことは日本で起こっている慰安婦問題を考える上で重要なことだと思いました。また私自身が知らなかったことも多くありました。特にアメリカの地方議会で話し合われている内容など初めて聞くものでした。本作品は慰安婦の何についてなぜ議論しているのかが、ざっくりと理解できるようになっていると思います。何も知らない人が見ても、なんとなく分かるような作りになっているので、議論に置いてけぼりになることはないと思います。

 

私自身の立場としては、人数はわかりませんが、慰安婦は「強制連行」された女性であり、「性奴隷」だったと思っています。強制連行とは、騙されたり、売られたりした女性も含まれます。理由は個人に仕事の内容の選択ができなかっただろうし、仕事を辞める自由がなかったと思われるからです。慰安婦問題を考えるきっかけにと思わずにエンターテインメントとして『主戦場』を楽しみ、その上で慰安婦問題を知るきっかけになればいいなあと思います。ちなみに監督は広島大学に留学経験があるようです。中国新聞の記事によると広島での経験が人生を変えたとインタビューに答えていました。

 

 

 

 

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