無言の語り部たち①~旧陸軍被服支廠の再利用
桜の開花宣言が各地で発表されました。散歩が楽しい季節になってきました。いつもの街を少し違う角度から眺めてみるのはいかがでしょうか。
広島市内には被爆建物があります。原爆を受け、そのまま現在も残されている建物のことです。その被爆建物の中でも大きな規模で被爆時の姿をそのまま留めているものに旧陸軍被服支廠(南区出汐)があります。レンガ造りの重厚な趣は当時の陸軍がいかに膨大な予算を使って建設し、運営していたのかが一目で分かります。広島では近年この建物を平和学習の場にする計画が持ち上がっています。
旧陸軍被服支廠では、かつて軍服や軍靴を製造していました。戦時中は在韓被爆者の方たちも働いていました。被爆後は避難所となり、被爆当時の様子は峠三吉の詩にも描かれています。広島市内に残る被爆建物が次々と壊されたり移築されたりする中で、当時の場所にそのままの姿で建っていることはとても貴重です。古い記事で恐縮ですが、今年1月6日の中国新聞の記事では「2017年度の来場者は1102人」と書かれており、多くの方が関心を示していることがわかります。また建築物としても価値が再考され、同記事では「巨大なコンクリートの屋根裏はほかに類がない。」と専門家からも注目を集めている様子が書かれていました。
活用にあたって一番の課題は建物の耐震問題です。4棟が現存していますが、1棟当たり約33億円もの耐震費用がかかるようなのです。現在、建物の所有は広島県で、費用をどう集めるのか、具体的にどう活用していくのかといった検討は進んでいないようです。建物として本来持っている魅力が十分にありますから、平和学習としての資料館や民間企業による商業施設など、様々な方面の役割を併用すれば、人を呼ぶことができるでしょう。建物が活用されれば当然地域の活性化にもつながります。こうした被爆建物を活かしていくのも、やはり人ですから、旧陸軍被服支廠の再活用を広島市民一人一人が考えていく必要があります。そしてそのためには、まず多くの方が被爆建物を見に行くことが先決ではないでしょうか。行けば活用されていないもったいなさが、よくわかると思います。被爆建物は広島の財産です。是非、多くの方にご覧いただきたいと思います。
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