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2018年12月 7日 (金)

韓国の元徴用工裁判、大法院判決を受けて広島で記者会見

 先月来から韓国の最高裁にあたる大法院で元徴用工裁判の判決が次々と出され、日本企業に賠償命令が出ています。去る11月29日、広島市内で元三菱重工徴用工の日本での裁判で弁護を務めた弁護団と支援者が記者会見を行いました。韓国でこの日、元三菱重工徴用工裁判の判決が下され、それを受けての会見となりました。

 

 会見を行った在間弁護士は「このたびの原告6人の元徴用工のうち5人は広島で裁判を行った原告である。韓国での訴状は広島で起こした裁判の訴状と同様の内容だ。被告は日本政府ではなく企業である。広島では敗訴したが、韓国でも提訴できるのではないかと、日本での闘いを引き継いだ形での提訴だった」と韓国で勝訴するまでの経緯を説明しました。在間弁護士は個人の請求権が消滅することはないことを強調し、韓国の大法院での判決を日本政府は冷静に受け止めることを促しました。さらに当時の日韓併合が合法か否かという日韓の考え方の違いがあることも述べました。

 

 このたびの韓国での裁判の被告は日本政府ではありません。元三菱重工の徴用工と企業での間の裁判です。しかし日本国内の受け止め方をみると日本政府が敗訴し賠償しなければいけないという判決になっているかのような言論が目立ちます。さらにひどいのはお金欲しさに元徴用工が裁判を起こしているという言葉まで出ていることです。なぜ被害にあった方たちが責められなければいけないのでしょうか。そもそもなぜ元徴用工たちが裁判を起こしたのか。まずこの部分から考えなければいけないと思います。

  

元徴用工たちは韓国から広島に強制的に徴用され働かされて被爆しました。賃金も未払いのまま敗戦後放置され、死ぬような思いで自ら帰国しました。その後も賃金は未払いのまま補償も受けられず、被爆者であるにも関わらず長い間、被爆者としての援護も受けられないままでした。そのためやむをえず裁判を起こしたのです。裁判は救いを求めるための手段でした。被害者が救いを求めることの何がいけないのでしょうか。被告となった企業である三菱重工側はこれまで解決の努力をしてきませんでした。70年以上という歳月の中、徴用された方の多くが何も言えないまま死を迎えたのです。

 

韓国政府も日韓協定に伴う戦争被害者への支払いをきちんと行って来なかった責任があると思います。そして日本政府は日本の国民や韓国の方たちにきちんと説明をしてきたのでしょうか。また日本政府は裁判に敗訴した企業に賠償金の支払いに応じることはないという説明会を開いたという報道がありました。どちらも被害者をないがしろにしているようにみえます。このような状況で日韓両方の国から見捨てられてきたという思いが被害者の方たちに生じるのは当然だと思いますし、救いを求めるのも無理のない話だと思います。日韓両政府は何より被害者である徴用工の方たちことを考えるべきです。被害者は韓国国民ですが、元日本国民でもあります。両方の国のために尽くしてきた方たちなのです。自戒をこめてですが、自分が正しいと思う正義が相手の正義と同じものなのか、日韓両国で見つめ合うことが必要なのではないでしょうか。

 

 119日に中国新聞に掲載された在間弁護士の「識者評論」の一部をご紹介します。

 

 「日本政府が自ら引き起こした戦争の責任を真摯に認め、韓国の被害者たちが受けた被害に対する賠償であると真に受け止めることができているのなら、その人たちが個人の権利を振りかざし訴訟を起こすことは、そもそもないだろう。」そして次のように締めくくっています。「日本側に最も欠けているのは、長年の植民地支配に苦しんだ人たちの痛みを理解しようとする姿勢だと思う。」。

 

 

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