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2018年10月

2018年10月25日 (木)

ドキュメンタリー映画『ブラジルに生きるヒバクシャ』を見て

 広島と長崎の原爆被爆者は世界各国にいます。被爆者の大多数は日本で暮らしていますが、海外では2000人以上いる韓国が一番多く、その後に北米、南米が続きます。南北アメリカは移民政策で日本から渡っていった日本人たちです。ブラジルには100人以上の被爆者がいますが、ほとんどが日本人です。このドキュメンタリー映画『ブラジルに生きるヒバクシャ(ロベルト・フェルナンデス監督2014年日本公開)』はブラジルで被爆者運動をされている森田隆さんを中心にしたブラジル被爆者平和協会の活動をドキュメントしたものです。

 映像は広島に原爆が落とされた場面から始まります。森田隆さんはあの日、ご自身が経験されたことを淡々と語ります。私たちは固唾をのんで何が人々の身に起こったのかを知るのです。  

 外国にいるため日本の被爆者援護法から取り残されたブラジルの被爆者たち。森田さんは中心となってブラジル被爆者平和協会を作り、日本政府からの支援を勝ちとります。そして学校や地域を回り原爆の恐ろしさ、核廃絶、戦争反対を訴え、自分たちのような被爆者を2度と生み出してはいけないと訴えます。

 80歳をゆうに越えた森田さんの活動はとてもアクティブで、目で追うのが大変なほど各地に出かけていきます。時には大勢の前で、時には少ない人数の前で森田さんたちは話します。話して話して、ひたすら訴え続けます。どの人も真剣な表情で聞き入る姿は、森田さんたちの気持ちが確実に伝わっている証拠です。ブラジル国内はもとよりアメリカなどにも呼ばれている映像があり、森田さんたちの訴えが広がり始めていることが分かります。また森田さんたちはブラジルで起きたセシウム137事故の被害者を尋ね、共に活動することを約束します。森田さんたちの活動がセシウム137事故被害者たちの力にもなっているのです。

 本作品は海外でゼロから被爆者運動を始めた森田さんたちの貴重な歴史を教えてくれるものであり、日本から移民していった日系ブラジル人1世の生き様を伝えてくれる大切な記録です。私たちは知らなければいけない歴史がまだまだあります。

 

 

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2018年10月17日 (水)

被爆2世裁判が広島地裁で行われています

 被爆2世裁判の口頭弁論が今月9日に広島地裁で行われました。原告と被告が互いの書面を出し合うものでした。原告である2世も大勢出席し、支援者も数多く参加しました。裁判終了後の報告会では裁判の争点などが話し合われました。

 今回の裁判で原告は、原爆の放射線により2世への健康被害が生じるため援護法の対象としないことに対して立法不作為であると主張しているのではなく、援護法にある3号被爆者に相当するのに対象としていないことが問題であると主張しています。

3号被爆者とは「原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった」人たちで、救護した人などが被爆者健康手帳を交付されています。弁護団は被爆2世もこの3号被爆者であると主張しているのです。

国側は身体への影響についての科学的根拠を被告である2世自身が立証せよと言ってきています。一方、2世の弁護団は国側が遺伝的影響を否定する根拠を示さなければならないと主張しました。話がかみ合っていないのです。

原告の弁護団は2世自身が科学的根拠を示すのではなく、国側は2世が被害を受けないという根拠を示すべきであると主張しました。法律を作り活用する側、この場合は被告ですが、国が法律の基準を示すのは当たり前のことです。遺伝的影響を否定する根拠を示せという弁護団の反論は真っ当なものです。

 被爆者援護法は社会保障としての役割があります。被爆者が原爆後障害に苦しみ、生活が困窮していたために作られました。被爆二世は被爆者の親の苦しみのもとで生きてきました。2世自身も自分の健康不安などを抱え、40年ほど前から国に援護を求めてきたのですが、援護法の対象から外され続けてきたのです。とうとう2世は2018年に裁判という形を取らざるをえませんでした。新しく法律をつくれと言っているわけではなく、現行の法律の枠組みに入るだろうと言っているのです。何度も書きますが、被爆者援護法は社会保障です。誰もが持つ権利なのです。裁判はまだまだ継続します。これからも注視していきます。

 

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