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2018年5月16日 (水)

世界的な研究にー放影研が被爆者試料活用か?

 5月12日付の中国新聞によると放射線影響研究所(放影研)は今まで提供された被爆者の血液などを遺伝子レベルで研究するため活用を検討しているということです。これはどういうことなのでしょうか。

 記事によると放影研は被爆者の健康影響を調べるため約2万4000人を対象に隔年で健診を実施しており、その際に提供された血清や尿などを保管しているということです。この血液や尿などが試料です。この度、放影研で保管しているこの膨大な試料を使い、がんなどの発症や予防などについて遺伝子レベルの研究をしたいということのようです。研究の際は放影研以外の機関も加わるということですから、大規模かつ画期的な研究内容になりそうです。

 5月11日は外部諮問委員会が開かれ、活用の是非などを議論したようです。被爆者を含めた委員会は非公開で行われました。記事によると委員会では「「おおむね、貴重な試料を有効に使ってもらいたいとの意見だった」と説明。」する一方、個人情報や遺伝子レベルの研究の倫理的な課題も上がっていたようです。今後、放影研は健診時に具体的な研究内容を説明し、被爆者の同意を得ていく想定をし、本年度内に議論を詰めていくと記事には書かれていました。

 そもそも放影研のように何十年に渡って大規模に血液などを収集保管している機関は世界的にも珍しいのではないかと思います。同記事でも「世界的に類例がない貴重な試料」と書かれています。研究者にとってはこの膨大にある貴重な試料を生かして研究をしたいと思うのは当然なのかもしれません。

専門家ではないため詳しくはわかりませんが、遺伝子レベルでの研究は現在、様々な分野に広がりを見せているようです。例えばヒトゲノム解析などは病気の予防や診断、薬品の開発や治療に結びつくものとして期待されています。しかし一方で課題もあります。ヒトゲノム解析は究極の個人情報で、この情報によって社会的な影響を与える可能性がでてくるためです。遺伝子検査の結果によって保険の加入ができなかったり、就職や結婚差別、出生前診断などに影響がでることが考えられます。データの悪用や優生思想など倫理的に問題の多い状況が生まれる可能性も否定できません。今の時点ではどんな悪影響がでてくるのか未知の状況と言っても過言ではないと思います。

 被爆者の試料であろうがなかろうが、ヒトゲノム解析研究は人類にとって必要な研究なのかもしれません。提供者の同意は当然のこと、個人情報の徹底管理、社会的倫理的に正しい研究内容かどうかの検証といったことが重要かつ必然です。究極の個人情報をどう守りながら生かしていくのか、課題はまだまだ山積みだと感じました。

同記事は放影研の理事長の言葉で「「被爆者や市民の見方を踏まえて利用したい」としている。」と結ばれていました。そうであれば外部諮問委員会もせめてマスコミなどに公開し開かれた研究内容にしていくことで、一般市民の感覚として理解可能で、被爆者や人類にとって有意義な研究内容になるのではないかと思います。閉ざされた研究では試料を提供した被爆者の方たちも不安になるのではないかと感じます。

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