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2017年7月11日 (火)

核兵器禁止条約案採択のニュースを見て

 今月7日、ニューヨークの国連本部で行われていた核兵器禁止条約制定交渉会議で「核兵器禁止条約案」が採択されました。国連加盟国中120ヵ国以上の参加で賛成122という圧倒的な数での採択となりました。これでようやく世界的な非核への足掛かりができました。広島近圏で最大発効部数を誇る中国新聞では連日大きく紙面を割いて報道し、被爆者と広島の思いを伝えていました。広島でいかに本条約が期待されていたかが分かります。特に9日は核兵器禁止条約の全文が掲載されていました。前文から世界中の人々の思いが込められているものでした。

 まず前文で印象に残ったのが被爆者への理解と共感でした。「核兵器の使用による被害者(ヒバクシャ)ならびに核兵器の実験によって影響を受けた人々に引き起こされる受け入れ難い苦痛と危害に留意。」の文言は、被爆者の方々の長い長い反核運動の成果といっても過言ではないでしょう。被爆者の苦しみが世界中の人々に伝わっている証だと感じました。記事には抱き合って喜ぶ被爆者の写真がありました。また前文には核兵器実験の被害者への言及、さらに先住民への被害にも触れている部分があり、製造から始まる核兵器の残酷さをあらためて確認することになりました。核がもたらす甚大な被害を提唱することで核兵器使用は人道に反する罪だと世界が認めたのです。

 本文では核兵器の開発、製造、実験、保有などの禁止は当然のこと、支援や勧誘、要請の禁止なども含まれていました。核兵器を持たず持たせずなのです。加えて被害者支援には心身の医療ケアのほかに社会的、経済的なケアの提供、そして核兵器を使用した地域の環境改善も入っていました。これらは核兵器を持つこと自体で大きな負担がかかることを意味します。核兵器被害が人的、環境的に長期間にわたって影響することが世界中の共通認識として捉えられているのです。核を持つことで自国の損失が高まるという、核兵器を互いに持つことで抑止につながることとは正反対の発想です。本条約の期間は無期限で、脱退希望国が紛争に関わっている場合は武力紛争が終結するまで脱退できないようになっています。戦争で使わせないようにしているのです。

 条約は920日から各国で署名が始まり、50ヵ国が批准すれば90日後に発効されるということです。皆さんご存知のように広島、長崎に核兵器を落とされた日本の政府は交渉の場にさえ参加しませんでした。議場外で条約に署名しないという方針を示しました。核を持つ国と持たざる国という国同士の問題ではなく、地球規模で核兵器がもたらす影響を考えることが今回採択された「核兵器禁止条約」が持つ意味だと思います。核兵器の被害国である日本が「核兵器禁止条約」に批准した場合の他国への影響は計り知れないと思います。なぜなら核兵器の恐ろしさを強烈に伝えることになるからです。核兵器を使われても持たない強い勇気を持つ国だと知らしめることになるからです。両者が手に武器を持っている時、相手より先に武器を離すのは勇気がいることだと思います。今回の条約はその勇気を後押ししてくれるものになるはずです。核保有国を含めた世界中の国が批准し、本条約が発効されることを願っています。

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