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2017年7月

2017年7月26日 (水)

「閉ざされた記憶 ノーモア南京展」のこと

 去る715日~23日まで広島市内にある被爆建物・旧日本銀行広島支店で「閉ざされた記憶―ノーモア南京展」が開催されました。市内中心部の電車通沿いにあり観光名所にもなっているため建物を見学しに入ってこられた方もいるようでしたが、展示を熱心にご覧になっていました。特に16日は南京大虐殺の生存者のご息女、22日は南京戦に参加した元日本兵・山本武さんのご子息が来広され、お話しをされました。16日は会場に入りきらないほど人が訪れたようです。私は16日には参加できなかったのですが、22日のお話しは聞かせていただきました。山本武さんのご子息のお話は重い内容でした。

 農家を営み、家族を大事にしていた優しい山本武さんが、出征先の中国で何をしてきたのか。武さんは晩年になって家族に戦争を語り始めました。そして従軍記録を書くようになったのです。そこには捕虜として捕まえてきた者を惨殺する武さんの行為が綴られていました。女も子どもも関係なく片っ端から突き刺し殺す。そして敵の拠点となることを防ぐため部落に火を放つという、残虐極まりない行為がありました。福井県から出征した山本武さんは昭和12年に上海で戦争に参戦し、その後、昆山や蘇州など数々の戦闘を経て南京に入城しました。この時の従軍記録を武さんは死ぬ間際まで書き続けました。

武さんは生涯にわたって戦争体験に苦しめられたといいます。「戦争だけはダメだ」と口癖のようにご家族に言っていたそうです。武さんの話や記録公表に対しご家族の中には葛藤もあったようです。しかしご家族は亡くなった武さんの意思を受け継ぎ、武さんの戦争体験を語り継いでいます。

 南京大虐殺の有無が問われているといいます。なぜそのような話が出るのか不思議でなりません。日本軍による南京大虐殺は東京裁判でも争われました。裁判の中で日本軍の戦争犯罪が事実認定され、被告の元中支那派遣軍司令官の松井石根は処刑されています。サンフランシスコ平和条約では東京裁判での判決を受諾することが協定の一つとなっていますから、日本は国として南京大虐殺を認めています。

戦争で何があったのか。山本武さんのように実際に体験された方の経験談は事実を知るうえでとても貴重です。私たちはこうした展示や証言の会に足を運び、状況を知ることが大事だと思います。生生しい戦場での出来事を知るきっかけになるからです。自分の目で見て話を聞いて、可能であれば現場に出かけることで、当時の人の目線で考え、歴史を肌で感じることができます。歴史を肌で感じた時、戦争は遠い昔の出来事ではなくなるのです。

 

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2017年7月11日 (火)

核兵器禁止条約案採択のニュースを見て

 今月7日、ニューヨークの国連本部で行われていた核兵器禁止条約制定交渉会議で「核兵器禁止条約案」が採択されました。国連加盟国中120ヵ国以上の参加で賛成122という圧倒的な数での採択となりました。これでようやく世界的な非核への足掛かりができました。広島近圏で最大発効部数を誇る中国新聞では連日大きく紙面を割いて報道し、被爆者と広島の思いを伝えていました。広島でいかに本条約が期待されていたかが分かります。特に9日は核兵器禁止条約の全文が掲載されていました。前文から世界中の人々の思いが込められているものでした。

 まず前文で印象に残ったのが被爆者への理解と共感でした。「核兵器の使用による被害者(ヒバクシャ)ならびに核兵器の実験によって影響を受けた人々に引き起こされる受け入れ難い苦痛と危害に留意。」の文言は、被爆者の方々の長い長い反核運動の成果といっても過言ではないでしょう。被爆者の苦しみが世界中の人々に伝わっている証だと感じました。記事には抱き合って喜ぶ被爆者の写真がありました。また前文には核兵器実験の被害者への言及、さらに先住民への被害にも触れている部分があり、製造から始まる核兵器の残酷さをあらためて確認することになりました。核がもたらす甚大な被害を提唱することで核兵器使用は人道に反する罪だと世界が認めたのです。

 本文では核兵器の開発、製造、実験、保有などの禁止は当然のこと、支援や勧誘、要請の禁止なども含まれていました。核兵器を持たず持たせずなのです。加えて被害者支援には心身の医療ケアのほかに社会的、経済的なケアの提供、そして核兵器を使用した地域の環境改善も入っていました。これらは核兵器を持つこと自体で大きな負担がかかることを意味します。核兵器被害が人的、環境的に長期間にわたって影響することが世界中の共通認識として捉えられているのです。核を持つことで自国の損失が高まるという、核兵器を互いに持つことで抑止につながることとは正反対の発想です。本条約の期間は無期限で、脱退希望国が紛争に関わっている場合は武力紛争が終結するまで脱退できないようになっています。戦争で使わせないようにしているのです。

 条約は920日から各国で署名が始まり、50ヵ国が批准すれば90日後に発効されるということです。皆さんご存知のように広島、長崎に核兵器を落とされた日本の政府は交渉の場にさえ参加しませんでした。議場外で条約に署名しないという方針を示しました。核を持つ国と持たざる国という国同士の問題ではなく、地球規模で核兵器がもたらす影響を考えることが今回採択された「核兵器禁止条約」が持つ意味だと思います。核兵器の被害国である日本が「核兵器禁止条約」に批准した場合の他国への影響は計り知れないと思います。なぜなら核兵器の恐ろしさを強烈に伝えることになるからです。核兵器を使われても持たない強い勇気を持つ国だと知らしめることになるからです。両者が手に武器を持っている時、相手より先に武器を離すのは勇気がいることだと思います。今回の条約はその勇気を後押ししてくれるものになるはずです。核保有国を含めた世界中の国が批准し、本条約が発効されることを願っています。

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