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2017年4月

2017年4月25日 (火)

広島平和記念資料館東館が明日、リニューアルオープンします

明日、広島平和記念資料館東館がリニューアルオープンします。一足早く、24日の内覧会に行ってきましたので、どのような展示だったのかご紹介します。

まず目を引いたのが「ホワイトパノラマ」です。被爆前と後の光景をCGで映していく映像はリアリティがあり、86日に何が起こったのかを目の前に再現してくれます。広島市内を上空から見ているため、爆発の瞬間は吸い込まれそうになります。わずか2分弱の映像時間に原爆の破壊力がいかにすごかったかが凝縮されていました。

今までと大きく変わったのは「メディアセンター」というタッチパネル式の検索画面があることです。2、3階の各階にタッチパネル画面があり、様々なテーマで情報を探すことができます。文字や写真のみならず動画もあり、ほとんど見ることのない昔の広島の動く風景が見られます。

在韓被爆者関連の展示で言えば「広島の歩み」のコーナーに、三菱徴用工の写真パネルが展示されていました。またメディアセンターで「戦時下の広島」や「被爆者と援護」の中に朝鮮人被爆者についての記述がありました。以前と比較すると在韓被爆者に関する記述が少ないように感じました。

全体的な感想は、洗練された博物館のようでした。原爆を実際に受けたら人間がどれくらいの血を流し体もボロボロになるのか、被爆者が受けた生身の体験を感じるところがなかったのが残念でした。また展示パネルの文字が小さく読みづらさを感じました。タッチパネルではワードでの検索機能がないため、在韓被爆者関連、朝鮮人被爆者関連の項目を探すのに苦労しました。検索ボックスまでとは言いませんが五十音順の検索項目を作ってほしいところです。

被爆直後の人形(被爆再現人形)は今日で役目を終えるそうです。撤去に関しては賛否両論あり、残すよう市民から強く要望があったのも事実です。一緒に内覧会に参加した被爆者の方が「人形はあった方がよかった。私は子供たちに証言する時「実際はあの人形よりひどかったんだよ」と話していた。あれがなければ実感としてわかりづらいのではないか」と言っておられました。原爆で町や行政機能などに被害がでましたが、やはり一番の被害は人間です。人間がどんな状況になったのか、生身に何が起こったのかを分かりやすく伝えなければ、原爆の恐ろしさや非人道性を実感することは難しいのではないかと思います。

 

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2017年4月19日 (水)

国立広島原爆死没者追悼平和祈念館をご存知ですか。

  今、広島平和記念資料館が改装中で、東館はもうすぐリニューアルオープンします。どのような展示内容になるのか楽しみです。同じ平和記念公園内にある国立広島原爆死没者追悼平和祈念館をご覧になったことはおありでしょうか。ここは原爆の被害や実相を伝える資料館とは異なった内容です。そもそもなぜ資料館があるのに、なぜさらに祈念館があるのか。今回は国立広島原爆死没者追悼平和祈念館をご紹介します。

 

 祈念館が建設された趣旨は資料館とは全く違います。資料館が被爆資料によって原爆の被害を伝えるという目的に対し、記念館は原爆で死亡した被害者の追悼のためのものです。「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づき、国が原爆死没者の尊い犠牲を銘記し、恒久の平和を祈念するため、原子爆弾の惨禍に関する国民の理解を深め、その体験の後代の国民への継承を図り、及び原子爆弾による死没者に対する追悼の意を表す施設として、広島市及び長崎市に設置するものである。(国立広島原爆死没者追悼平和祈念館HPより)」とあり、被爆者援護法の一環として国が建設したものなのです。

 

祈念館は入り口に水、瓦礫と「あの日」をイメージさせるオブジェがあり、見る者を出迎えます。そして眠る被爆者に会いに行くかのように地下へ続く階段を降りていき、館内に入ります。館内はカタツムリの殻のようなスロープがあり、そこを進んでいきます。設計意図としては「時計の針と逆回りに下っていくことで、あの時へと時間がさかのぼっていく」ということのようです。時間をさかのぼるように、ほの暗い坂道を下るようなスロープの壁にはパネルが展示され、日本が戦争に進んだ歩みなどが書かれています。文章は日本語、英語、中国語、韓国語で記入されています。パネルには朝鮮半島出身者や中国人、東南アジアの留学生、アメリカ軍捕虜が被爆したことが書かれ、被害が日本人だけではなかったことが記されています。さらに最後のパネルには「誤った国策により犠牲となった多くの人々に思いを致しながら、その惨禍を二度と繰り返すことがないよう、後代に語り継ぎ、広く内外へ伝え」とあり、日本が行った戦争に対し「誤った国策」だったとはっきりと書かれています。国が建設した施設でこの文言が書かれていることを考えると、原爆被害者への深い追悼の意味が込められていることが伝わります。そして水の音が聞こえたとたん急に視界が広くなり、あの日が目の前に出現するのです。

 

そこは「平和祈念・死没者追悼空間」です。815分の時計をイメージした水盤以外なにもありません。その壁には爆心地である島病院の付近から見た被爆後の街並みが360度のパノラマで再現され、私たちはあの日に立つことになるのです。ここでは死没者数と同じ枚数のタイルが使われています。タイル一枚一枚が犠牲者だと思うと、その数の多さに改めて圧倒されてしまいます。タイルから人の声が聞こえるようです。しかしここでは生きている人の話し声が聞こえることはほとんどありません。皆さん、じっと壁を見つめているだけです。死者に思いを馳せているのです。

 

この後、「遺影コーナー」「情報展示コーナー」「体験記閲覧室」などがあり、被爆で亡くなった方々の顔や体験を具体的に知ることができます。私としては順番として資料館の後より、前に来られる方がいいと思います。なぜなら資料館は見るものや情報量が多く、祈念館までたどり着けなくなるからです。まず祈念館で一人一人の死者を思い、そして資料館で被爆の実情を知ることで、原爆の惨禍がより強く胸に迫ってくるのではないかと思います。国立広島原爆死没者追悼平和祈念館のメインコーナーには何もありません。静寂な空間が広がっているだけです。しかしここには確かにあの日起こった出来事が再現されているのです。

 

 

 

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