映画「あん」見ました。いい映画でした。
映画「あん」(河瀨直美監督)を見ました。いわゆるシネマコンプレックスで上映していたことと、若干年齢は高めですが様々な方が見に来られていることに驚きました。ハンセン病という社会問題を扱った内容で、大きな映画館で上映というのは邦画ではなかなか難しいのではないかというイメージがあったため、私の方が映画に対して偏見を持っていたことを思い知らされました。
映画は公園の一角にある小さなどら焼き屋が舞台です。そこで黙々とどら焼きを売る主人公と、そこに通うハンセン病回復者、女子高生の小さなお話です。内容はフィクションですが、扱っているハンセン病や差別意識は事実です。悲しみや怒りといった感情を高ぶらせることのない表情から、私たちはその奥に隠された思いを知るのです。ハンセン病回復者の言葉の一つひとつが心にしみ、宝物のように感じます。静かに静かに始まり、穏やかに終わりますが、その中には悲しみや幸せが詰まっています。私たちが見て感じたことを心にしまいこむのではなく出していく。その時初めて、この映画はエンドマークを掲げるのかもしれません。
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