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2013年12月25日 (水)

ローソクの炎

その時のローソクの炎は希望ではありませんでした。少年はローソクの炎で自分の皮膚が焼ける様子をじっと見ていたのです。痛みを感じないのはハンセン病の症状の一つでした。

元ハンセン病患者の林東植さんは自伝『ローソクの炎 ハンセン病元患者の心の軌跡』を今年7月に出版しました。以前、林東植さんの証言を聞いた時に自伝を制作中と話されていたので楽しみにしていました。この度、ようやく著書を拝読する機会を得られました。本書では林東植さんの半生が綴られています。在日2世として大阪で生まれ、貧しい暮らしの中で利発な男の子が友達や家族とどうつながってきたのか、大阪から広島に来て原爆に遭い、ハンセン病にかかるまでが生き生きと描かれていました。差別の出来事の中でも時折、笑みがこぼれるユーモアあふれる内容でした。本は小学校を卒業した時点で終わっています。私はご本人の姿を先に拝見し話をお聞きしていたので、ほんのわずかですが続きが分かります。遠い将来の、数十年後の林東植さんがどうなるのか知っています。ご苦労はたくさんするけれど、ご自身のことを人前で話したり、本を書いたりして、たくさんの方々に勇気を与えるのです。

林東植さんは盲目です。どうやって本を書きあげたのかと言うと、ボランティアが東植さんの言葉を口述筆記し、読みあげたものを東植さんが聞いて直すという方法です。出版にあたって気が遠くなりそうな作業が行われていたのです。発刊に寄せてでは「この本は日韓の固い絆が生んだ貴重な宝物だ。」と書かれています。私もその通りだと思います。少年の時見たローソクの炎は林東植さんにとっては絶望だったかもしれません。しかし今、東植さんの手元にある自伝『ローソクの炎』は日韓の小さな希望となったと思います。

 

 

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