日韓の近現代史~共通の歴史教材ができました
今年3月、日韓共通歴史教材『学び、つながる 日本と韓国の近現代史(日韓共通歴史教材制作チーム編・明石書店)』が発刊されました。日本と韓国の共通教材となるべく製作されたもので、同チームが2005年に出版した『朝鮮通信使―豊臣秀吉の朝鮮侵略から友好へ』に続く2作目です。日韓共通歴史教材制作チームは広島県教職員組合・広島県高等学校教職員組合と韓国の全国教職員労働組合大邱支部で構成され、日韓ともに小学校から高校までの教諭や元教諭が執筆しています。広島市と大邱市は姉妹都市提携しているため交流があり、2001年に広島県教職員組合と韓国の全国教職員労働組合が「相互交流と協力に関する議定書」を結び、このような教材の製作となりました。
本書は開港(17世紀)から現在までを4つの時期に分け、日本と韓国の両方の国内情勢が書かれています。当時の広島と大邱での出来事も書かれていますから、地方ではどうなっていたのか、その様子も伺うことができます。特徴的なのは韓国側では民衆運動についてかなりの頁をさいていることです。国の動きと同時に、民衆は何を思い、どのように運動(抵抗)し、現在に至ったかが書かれているのです。時系列なので分かりやすくなっています。
まえがきには「日本と韓国の若い皆さんへ」というタイトルがつけられ、3頁にもわたって本書で伝えたかったことを述べています。私が印象に残ったのは次の一文でした。
「民族や国家を背負うと、相手側の立場が理解しにくくなります。それで私たち執筆者は、国家と民族を背負わず、事実を基に客観的な歴史を記述することを原則に定めました。すなわち、事実をありのままに伝えることができるように努力しました。」
この本を出版するにあたって12年間もの月日がかかったといいます。あとがきを読むと混乱もあったようです。しかしこの歳月は信頼関係を強めることはあっても、壊れることにはつながらなかったといいます。ここのところ日韓、日中関係が緊張してきていますが、共通の歴史認識を持つ必要性があることは互いに承知しています。今回のような取り組みは参考になるに違いありません。「相手の立場を理解するために」こうした取り組みをするのですから、何年、何十年かかっても構わないと私は思います。日本は相手が遺恨を残さないための努力をする必要があると思いますし、こちらの意思を伝え行動することで相手に理解してもらわなければいけないと思います。未来に何を持っていくのか。それは私たちが今、決めなければいけないことだと思います。
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