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2013年2月 5日 (火)

船田玉樹展を見てきました

 船田玉樹という画家をご存知ですか。船田玉樹は広島県呉市出身の日本画家です。生誕100年ということで現在、市内にある広島県立美術館で船田玉樹展が開催されています。地元の作家だけあって、広島県内にあった個人蔵の作品が数多く集められ200点以上もの作品が展示されています。今回の展示会のタイトル「異端にして正統、孤高の画人生」というテーマにふさわしく実験的で多様な画風と、作品自体の数の多さに圧倒されました。

 いかにも日本画の題材らしい桜や白蓮、牡丹などの花鳥風月や、美しい瀬戸内や滝などの風景、ガラスに描きこまれた抽象画などに交じって異色な1枚がありました。1952年にかかれた「広島にて」というタイトルの絵です。

 これは原爆ドームの内側から見た構図でした。今は無理ですが当時はドームの中に入ることができました。私が驚いたのはドームの内側に英語の落書きがうっすら見えていたことでした。この絵画展に誘ってくださった方によると、戦後GHQが広島に来た際、原爆ドームは観光名所のようになっていて、ドームに落書きをすることがあったのだそうです。船田玉樹が被爆者かどうかはわかりませんが、被爆後の広島市内や長崎市内に行ったと説明書きには書かれていました。原爆で壊滅状況の町を知っているに違いないと思います。復興ままならない広島で、この絵をどのような思いで描いたのでしょうか。またあの落書きを見てどう感じたのでしょうか。少なくとも展示会場には被爆をモチーフにした作品はこの1点しかありません。それが原爆ドームの内側から描いたものなのです。破壊された建物は逆光のため暗く、落書きの文字は目をこらさないと見えません。それが船田玉樹の視点であることは間違いないので、そこから感じ取るしかありません。

 ご一緒した方がふと「記録画にもなっていますね」とおっしゃいました。確かに船田玉樹は原爆で崩れた建物を、そして英語の落書きを記録しておこうと思ったのかもしれません。暗いドームの間からは陽にあたって白くなっている広島の風景がかすんで見えます。復興の兆しもこの絵に託したのかもしれません。

 

 

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