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2011年10月 7日 (金)

芸術の秋~オノ・ヨーコ展「希望の路」

 金木犀が香る季節になってきました。広島に来た当初は、金木犀の香りをフレグランスだと思い、広島の女性はこの香りが好きなのだと思っていました。北海道ではあまり感じたことのない香りだったので、勘違いしてしまったのです。今では金木犀が香るとああ秋が来たんだなあと季節の香りになっています。先日、芸術の秋を楽しんできました。広島市現代美術館で開催されているオノ・ヨーコ展「希望の路」です。

オノ・ヨーコ氏は今年、第8回ヒロシマ賞を受賞しました。この賞は1989 年に世界の恒久平和と人類の繁栄を願う「ヒロシマの心」を美術などを通して世界へ訴えることを目的≫として創設されました。過去にデザイナーの三宅一生氏や建築家のダニエル・リベスキンド氏などが受賞しています。このたびはオノ・ヨーコ氏の長年の芸術活動の功績が評価されたようです。

「希望の路」はドキドキする内容でした。美術館の内外を使っての作品は全部で13あり、テーマは「ヒロシマ、ナガサキ、フクシマの鎮魂」と「未来への希望」です。東日本大震災で崩壊した家にあった家財が置かれていたり、壁には直筆の「世界平和祈念永遠」「地球愛人類平和」という書があったり、暗闇にたたずむ透明な人々がいたりと、様々な作品で見る者を刺激していきます。一番強烈だったのが“カバー”と名付けられた作品です。薄暗い部屋の床に無数の毛布が並べられています。毛布の形は人が横たわっているように浮き上がっています。ここに入ったとたん、私たちは遺体安置所に放り込まれたような気持ちになります。展示会場にはどの作品にも共通して白い折りヅルが置かれていますが、遺体を思わせる傍にある折りヅルは残された者の象徴として、特に悲しみを包み込んでいるように見えました。恐ろしく見えてもおかしくない空間ですが、静寂の中に不思議と暖かいとも思えるような空気が漂っているのは、亡くなった方々を思うアーティストや見ている方たちの鎮魂の気持ちが残っているからなのでしょう。死者の思いも胸に抱きながら作りだすのが「希望の路」なのだと思いました。私たちは死者と共にあることを忘れてはいけないのです。

 このオノ・ヨーコ展「希望の路」は今月16日までです。お近くにお寄りの際は足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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