『「被爆二世」を生きる』(中村尚樹著)を読んで
‘被爆’と出会った後、どういう形で自分の中に残っていくかは人それぞれだと思いますが、私は在韓被爆者や在日コリアンの方々とのおつきあいが始まり、映像テーマとなりました。そして私に限らず被爆をテーマにした場合、遅かれ早かれ被爆二世問題に突き当たると思います。しかし被爆二世を語ることがとても難しいのは、差別の助長になるのではないかという懸念がつきまとうからです。本書は始めにその偏見を取り除き、なぜ被爆二世をとりあげるのか、理由についてこう書いています。
「二世問題については以前ほどは積極的に報道していないようである。誤解を恐れて口をつぐむという人も多い。(中略)原爆や被爆者問題に疎い世間の人は、かつてのうろ覚えの知識で、被爆二世についても論じてしまう可能性が高い。」「被爆二世であるということは、ハンディキャップのひとつであるという見方はわかりやすい。ハンディのレベルがゼロの人もいれば、一の人も、十の人もいる。しかもこうした人生におけるハンディは、被爆二世の人たちに限らず私たちの誰もが持つものである。」「被爆二世としてのハンディが、ほかの一般のハンディと違うのは、それが戦争、それも核兵器によってもたらされた、人類にとって未知の被害だという点である。」
被爆二世、三世という存在は人類にとって重要な存在だと思います。誤解を恐れずに言えば、被爆者以外で身を持って核兵器を否定できる貴重な証人となることができるからです。「戦争」は、戦争を知らない次の、そしてその次の世代の人々の生き方にまで関わっていきますが、被爆二世は特別なものがあると思います。中村さんの言葉をそのまま借りれば「人類にとって未知の被害」だからです。本書に出てくる歌手や写真家、ジャーナリスト、平和活動家など様々な被爆二世三世は、その生き様を通して被爆を私たちに伝えてくれます。そして被爆者や二世、三世の現状もわかります。
本書は被爆について知っている方も知らない方も、またこれから被爆者について知ろうとしている方にお勧めの1冊です。被爆後の世界をどう生きたらいいのか、そして原爆のために人類が背負わなくてはならなくなった計り知れない課題の大きさと多さに気づくのではないかと思います。
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