“戦争”を伝えるということ〜未来を変えるために
1月ほど前の2月9日の中国新聞に『8・6からの私 広がる自分史』という記事が掲載されていました。被爆者や家族の間で自分史を書くことが広がっているという内容でした。中国新聞によると被爆50周年までに出された手記は約3万8955編もあるといいますから、その後の発表を含めるとそうとう数にのぼると思います。新聞に掲載されていた方々は「(原爆症認定訴訟で勝訴したのは)支援してくれた人たちのおかげ。お返しのために、何かの形で残して伝えたい」「父のように、口を閉ざしたまま亡くなる被爆者は多いでしょうね。残しておくことが急務だと思います」「原爆の後も、だいぶ苦労したんよ」と人生を振り返りながら、個人の記録だけには留まらない思いを語っていました。自分と同じ苦しみを後世の人に体験させたくないという強い思いがあるからこその被爆者の自分史が、そこにはあると思います。
経験していない戦争を伝えることは容易ではありませんが、小説や詩歌、戯曲などの文学作品、絵画や漫画、映画、音楽などのアート作品と体験していなくも想像力で共感すること、伝えることはできます。先日、広島のあるNGOでパレスチナの現状をラップと映像、演劇という手段で戦争を伝えるイベントがありました。攻撃されている生々しい状況を役者さんが演じる時、そこに戦場がありました。泣き叫ぶ無辜の民がいました。現実ではないけれど、参加した全員が悲惨で非人道的な中東紛争の目撃者となりました。このイベントを見て、被爆者たちが書く自分史は今後生まれてくるであろう原爆や被爆関連の作品に大いに影響を与えることになると確信しました。
“戦争を伝える”ことはある意味“未来を変えること”だと思います。今を生きる私たちは未来の尖端にいるのですから、未来に戦争を起こすことだけにはつなげたくありません。
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