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2009年6月26日 (金)

盧佳世セカンドアルバム『海渡り』から

 シンガーソングライター盧佳世さんのセカンドアルバム『海渡り』は、元気が出て勇気をもらえる曲が多く入っています。深い青にとってもおしゃれなロゴが入ったジャケット、フォークソングを思わせる曲調はどこか懐かしくて、耳に心地よく入ってきます。中でも特にご紹介したい歌が2曲あります。ご自身の体験にまつわるものやルーツを歌った曲で、いずれも心に染みてきます。
 最初のフレーズで思わず笑顔になってしまうのが『ほめて』です。タイトル通り歌詞は“褒めて 褒めて”の連発で「ネガティブな性格の部分をポジティブに考えようよ」という、とてもとても前向きな歌です。盧佳世さんはご自身の障害であるADD(注意欠陥障害)をカミングアウトしていますが、そのきっかけとなったのがこの曲だったのだそうです。ライブでの評判がかなりいいと聞きました。私自身最近ついネガティブな気持ちになりがちだったのですが、この曲を聴いたとたん大笑いして「そうよね。自分を可愛がってあげなきゃね」という気分になりました。確かに大人になってから“褒められること”はほとんどありません。歌のように互いにもっと褒めあってもいいのかなあと思います。ある会社で、社員同士で褒めるカードを書いて出すというシステムを作ったら、売り上げが伸びたというテレビ番組を見ました。その時のインタビューで「褒めるということは、よく観察しないとできない」「(人に見られていると思うと)励みになる」と答えていたのが印象に残っています。褒める行為は人を見守る行為なのかもしれません。他人のことなど見向きもしないことが多くなった今日、“褒めること”は人とのつながりを生み、元気を与えてくれる魔法かもしれないと思いました。
 在日コリアン2世の盧佳世さんがお父様のことを思い作ったのがアルバムのタイトルにもなっている『海渡り』です。ご自身の曲紹介には【故郷の地へ馳せる想いはあっても一度も帰っていないそのことが、私には切なく哀しく思えるのです。】と書かれています。繰り返される「ホグヤ ホグヤホ ホグヤ ホグヤチャ」という歌詞からは朝鮮半島の大地から沸き上がってくるような“気”のようなものを感じ、日本に渡ってきた人々の心境を力強く歌い上げた名曲だと思います。実は2年前、盧佳世さんが韓国のソウルでファーストライブをした際、同行させてもらいました。そこで初めてこの曲を聴いたのですが、私は胸を鷲掴みにされました。歌詞は日本語なので集まった観客の中で内容を理解できた方はそう多くはなかったと思いますが、圧倒的な曲の力強さに会場は熱気に満ちました。この曲には人を惹きつける力があると思います。CDもいいのですが、是非ライブで聴いていただきたい一曲です。

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