日系人の方と出会って
金曜日の夜はある集会で日系二世の監督さんが撮ったドキュメンタリー「この国にとどまって」を見てきました。そして日曜日は日系人や中国人などの在日外国人と一緒にサッカーをする海田町国際交流協会主催の国際親善サッカー大会の撮影に行ってきて、先週はちょっとした日系人週間でした。
ドキュメンタリーは大学に進学した3人の若者の話を中心に関西に住む日系ブラジル人、ペルー人の現状を描いていました。3人とも日本に来て違和感を覚えながらも、なんとか日本で生きていこうと奮闘していました。学校でいじめられた経験を赤裸々に告白し、日本の大学(一人は慶応大学)に受かった時の喜びを素直に日本語で語っていました。在日外国人と接してきたことがある私にとって、映像に出てくる証言は目新しい事というより「そうそう、あるある」という内容でしたが、「私は頑張った」そう言った大学生の言葉に涙がでそうになりました。とても賢い子なのだと思います。でも言葉の壁や家庭の経済的な事情などから、簡単なことではなかった大学進学。それを彼女たちはのり越えたのです。一体どれだけ頑張ったのか想像を絶します。現在もアルバイトで学費を稼ぎながら学んでいる彼女たちは日系人の希望の星で、そのことを彼女たちも感じているはずです。自分だけのことではない。だから頑張っているのだと思うのです。嫌な事が多かった日本での生活ですが日本は第二の故郷だと言ってくれています。その言葉の重みが胸に響きました。
日曜日に会った19歳のA君は日系3世のペルー人です。日本の歴史や文学が好きで、ペルーでは日本の歴史本や三島由紀夫などの日本人作家の小説を読んでいたといいます。英語はぺらぺらで来日2年で日本語を話すことができるインテリです。好物が寿司という笑顔を見ると少年といってもいいようなあどけなさが残ります。しかしペルーの大学を2年まで行き休学して学費を稼ぎに来日したしっかり者でした。「日本に来て楽しい事は何?」という質問に言葉が詰まり、少し考えて「楽しい事は何もないかな」そういう答えがかえってきました。「じゃあ大変なことは?」にはすぐさま「仕事でストレスがたまること」と答えました。そして「友達がいないこと」と付け加えました。勤務先の自動車工場と家との往復で遊びに行く余裕がないのです。
「想像していた日本と違ったのは家族で住んでいないこと(これは核家族、単身者を意味すると思います)です。ペルーでは何時でも家族単位で行動するので違うなと思いました」と驚いていました。実はA君は来年3月で仕事を終え、4月からペルーの大学に復学します。ようやく両親と一緒に住め、大学の友達とも会えるのです。大学では経済学を学び、卒業後は金融関係の仕事に就きたいと希望に胸を膨らませていました。
A君が日本が第二の故郷だと思ってくれるかどうかは、私たち日本に住む者の気持ち次第だと思います。外国人をどう受け入れるかという問題は実は外国人に限ったことではなく、他者をどう受け入れるかと同じだと思います。他人を受け入れ理解することは全ての平和につながると思います。難しい面もたくさんありますが、私はつきあうことから始めたいと思っています。
日本で友達がいないと言っていたA君でしたが、今回の大会で知り合った大学生と連絡先を交換していました。まだ少し広島にいる時間があります。A君にとって日本が第二の故郷だと思えるいい経験ができることを祈っています。そして大学の卒業旅行などで再び広島を訪れる日がくるよう心から願っています。
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