「夕凪の街桜の国」を見ました
佐々部清監督の「夕凪の街桜の国」を見ました。会場は町中の映画館で、お天気の良い日曜日の午前中ということもあって私の見た回の客層は中高年の方が多かったのですが、次の回では若い人が並ぶ姿をみかけました。佐々部監督があるインタビューで「広島で成功してほしい」と答えていたのですが、広島人はその期待に応えているのではないかと思います。
映画は原作こうの史代さんの作品への思いに敬服し、しっかりと受け継いで映像表現していると思いました。私は最初から涙が止まりませんでした。会場でも涙をすする音が聞こえていました。被爆者の方々がどのような気持ちで生きてきたか、私も多少は見聞きして来ましたので、主人公や家族の気持ちが伝わってきて、ただただ泣けて仕方がなかったのです。
フィクションがいいなあ、映画はいいなあと思うのは、「言いたくない」「言えない」方々の思いを代弁することができるからです。私は原爆症で苦しんでおられる方や被爆者であるために結婚をしなかった方、被爆二世の子どもの結婚に反対されて悔しい思いをした方など、実際にお会いしています。また「今でも原爆のことは話しとうないんよ」という方も知っています。被爆経験を話したくない方の方が圧倒的に多いと聞きます。しかしどの方も「原爆は二度と使ってほしくない」「自分だけでこの経験は終わりにしたい」という思いは同じです。この映画はそうした方々の思いをしっかりと受け止めて表現していると思います。被爆者と多少交流のある私にはそうした被爆者の気持ちと齟齬のない映画なのではないかなと感じました。
しかし一緒に見た方はこう話していました。「もしこれを海外で公開するには、もう少し説明が必要だ。被爆者や被爆二世への差別のことは分からないだろう」と言うのです。この方は日本人で現在ドイツに留学中です。広島に行くと言うと周りから「(在留放射能は)大丈夫?」と心配されたというのです。戦後60年以上経過し、広島に大勢の外国人が訪れ、被爆者も数限りなく海外で証言しているにも関わらずです。この方の周囲が特別なではないと思います。原爆に対する認識の風化はここ広島でもあるのですから。
とにかく、この映画を見ていただければ、原爆が人々の心へどんな傷をおわしたのか。トラウマの衝撃と被爆二世の今を垣間見ることができるのではないかと思います。
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